バランスのとれた食事が決めて
胃がん、食道がん、子宮頸がん、肝臓がんなどは、アジア、アフリカに多い癌で、タンパク質や脂肪、ミネラル、ビタミンなど全般的に栄養の不足が社会的な背景となって起きると考えられています。
一方、乳癌、大腸がん、すい臓がん、肺がん、子宮体がん、前立腺がんなどは欧米に多く見られる癌で、逆に栄養の過剰やアンバランスが原因と考えられています。
栄養のアンバランスと癌との関係を活性酸素の方向から考えてみると、一つは活性酸素を消去する酵素やたんぱく質、ビタミン類などの防御系が栄養の不足によってレベルダウンしてしまっていることが考えられます。
反対に、栄養の摂取過多によって活性酸素の攻撃対象を増やしてしまうというケースが考えられます。
例えば、不飽和脂肪酸の増加は、脂っこい食事が原因で、活性酸素の攻撃を増加させます。
あるいは、栄養の過多がホルモンの過剰を招きますが、ホルモン自身が活性酸素を作り出す場合がありますし、ホルモンの環境の異常は過酸化脂質の増加にもつながります。
ですから、食事によってがんを予防するという事は、栄養不足でもない栄養過多でもない、バランスの取れた食事、すなわち各栄養素を過不足なく食べるという、いっけんたいへん常識的な結論になってくるのです。
マウスの実験ですが、エサの中に不飽和脂肪酸を多く入れて飼育すると乳がんが多発するようになります。
この不飽和脂肪酸は核の膜を構成している主要な材料ですから、活性酸素の攻撃を受けやすくなる可能性があります。
これは、人間の場合でも、世界各国の食事の内容を調べてみると、不飽和脂肪酸の摂取量と、乳癌にかかる人の割合とは大変深い関係にあることが分かります。
また、マウスの話ですが、不飽和脂肪酸をたくさん食べさせて、同時にビタミンEを大量に与えると癌のような腫瘍の発生が減ったという実験があります。
ビタミンの中のいくつかのものが、がんの予防に役立つのと同様に、SODもやはり癌の予防に密接なかかわりを持っているようですが、現在の段階ではSODを補助食品のような形で補う事は出来ません。
したがって、バランスの取れた食事をすることで、自然に備わっている防御系に充分働いてもらうように仕掛けることが目下の最良の対策と言えるのです。
がん予防の12の活性酸素対策
財団法人国立がんセンターでは、次のような「がん予防の12箇条」をまとめ、ライフスタイルを改めることでがんを予防しようとPRをしています。
それをご紹介しましょう。
1 彩り豊かな食事をして、バランスの取れた栄養を摂る
2 ワンパターンではありませんか? 毎日変化のある食生活を
3 美味しいものも適量に、食べ過ぎを避け、脂肪は控えめに
4 健康的に楽しみましょう。 お酒はほどほどに
5 タバコはなるべく止める。 特に、新しく吸い始めないように
6 緑黄色野菜をたっぷりと。 食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
7 胃や食道をいたわって塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから
8 焦げた部分は避ける。 突然変異を引き起こします。
9 カビの生えたものに注意。 食べる前にチェックして。
10 日光に当たり過ぎない。 太陽はいたずら者です。
11 適度にスポーツをする。 いい汗流しましょう。
12 体を清潔に。 気分も爽やか。
がんの予防とは、あらためてあげてみると、どれも常識的で、普段から心がけている事柄のようですが、国立がんセンターが示しているパンフレットには、これで60パーセントのがんを防ぐことが出来ると記されています。
特に、タバコ(活性酸素の発生源の一つ)に対する注意の項目だけで30パーセントのウエイトを占めていますので、タバコを吸う人はなんとしても禁煙しなければならないようです。
もう一つの主要なテーマは、食事についての注意です。
食生活については、12箇条の中でも8項目にも及んでいますから、癌の予防は、まず、食生活の改善からと言っても過言ではありません。
しかし、「バランスの取れた栄養を摂る」という項目にしても、当然なことと思う反面、バランスの取れた栄養とはどんな食事をすればよいかということになると、実は大変専門的で難しい課題と言わざるを得ません。
栄養についての知識のあるなしが、癌を予防できるかどうかに大きくかかわってくるという事が言えます。
ですから、この栄養とか食事については、別に項目を作って説明することにしましょう。
活性酸素の問題を掘り下げていくと、やはり「バランスの取れた栄養」というテーマにたどり着きます。
このテーマは、癌の予防という問題にとどまらず、老化をはじめとして、癌を含むそのほかの成人病の予防においても、切り離すことのできない重要なテーマなのです。
「食べ過ぎを避ける」とか「脂肪は控えめに」、「酒はほどほどに」という項目は、体の中に余計な脂肪を増やさない(肥満を予防する)、つまり、活性酸素の標的を増やさないための工夫ということが出来ます。
最新の研究でも、脂肪の摂り過ぎは、乳癌や大腸がん、前立腺がんとの関連があるのではないかという疑いが濃くなってきています。
一方、「食黄色野菜をたっぷり」「適量のビタミン」といった項目は、積極的に活性酸素を撃退するための大切な食事の心得です。
魚の焦げたところなどは活性酸素の発生源となるところで、本来人間の身体は活性酸素の攻撃にも耐えられるようになっているはずですなのですが、こうした攻撃が繰り返されると、その防衛機能にも隙が出来てしまい、やがて癌が顕在化してしまう事になるのです。
ただ、残念なことには、「適量の」とか「適度の」といった表現もあって、まだ量的に世界的なコンセンスが確定していない部分もあることです。
後ほどそうした点にも触れていきますが、基本的にはやはりバランスを優先するという事でしょう。
「日光に当たり過ぎない」も、一重項酸素という反応性の高い活性酸素の発生を促進するわけですが、癌の予防だけでなく、皮膚の老化に関わる問題でもあります。
このように「がん予防12箇条」は、活性酸素とのかかわりという断りはありませんが、活性酸素の害を封じる対策が見事に盛り込まれています。
このように癌が発症しないように生活習慣に気を付ける方法をお伝えしてきました。
では一体、癌という病気の特徴とはどういったものなのでしょうか?
じつは、水素イオンを発生させるサプリのコンドリプラスと癌という観点から見ていくことで、ここ最近、癌に対して新たな視点で見ることが出来るようになってきました。