活性酸素を防ぐ生活習慣(4)

小さな傷でも早く治すようにする

もしかすると、活性酸素を防ぐのに、小さな傷を治すこととは関係ないと思われるかもしれません。

でも実は、関係があることなのです。

 

皮膚に傷が出来て、そこから細菌やウィルスが入ると、その傷口が赤くはれて化膿して熱間や痛みを伴うこともあります。

炎症が起きているのです。

体のどこかで炎症が起こると、その場所では活性酸素がどんどんと作り出されてしまいます。

白血球が、侵入してきた細菌と戦っているためです。

白血球の武器が活性酸素なのですから、周囲の正常な細胞はたまったものではありません。

巻き添えを食らって炎症を起こしてしまったという訳です。

ほっておくと、活性酸素がそのたびに暴れまわって、次第に難しい病気へと発展することになりかねないので、きちんと治療が必要です。

 

ところで、傷を早く治したいときには、傷口の消毒や消炎剤での治療はもちろん必要ですが、内面から治療を支えるためにビタミンCを積極的に摂ることも一つの方法です。

細胞の成分の大部分はタンパク質ですが、傷が出来るとその皮膚のたんぱく質が壊されてしまいます。

傷が治るのは、その部分に新しい組織が出来なければなりません。

その再生にビタミンCが重要な働きをしてくれるのです。

動物実験でも、ビタミンCが不足していると傷の治りが悪く、ビタミンCを豊富に与えられたグループは傷の回復が早かったという結果が出ています。

タンパク質の中にコラーゲンというものがあり、これが細胞と細胞を結合する作用を持っているのです。

細胞同士が結合しなければ、新しい組織は出来上がりません。

そのコラーゲンを生成するためには、ビタミンCが大量に必要なのです。

そして活性酸素を抑える抗酸化物質でもあるビタミンCは十分に役立ちます。

 

カビの生えた食品に気を付ける

がん予防の12箇条で「カビの生えた食品は食べないようにする」と言われていることは、すでにご承知の通りです。

日本は湿度の高い国です。

ところが、特に輸入の食品などについては高温多湿への対応が必ずしも万全ではないものもありますので、食べる前にカビが生えていないかどうかよく確かめる必要があります。

 

例えば、ピーナッツなどによく生えるカビはアフラトキシンといい、発がん性物質としては強力で、少量でも癌を発生させることが知られています。

ピーナッツは過酸化脂質が比較的多く含まれている食品なのですが、これはピーナッツ類には脂肪酸を酸化させる酵素があり、油が過酸化脂質に変化しやすいからです。

それがなぜ問題かというと、過酸化脂質自体がフリーラジカルであるために、次々に体の中で細胞などを酸化させてしまうという酸化促進作用をもっているからです。

酸化されないための防衛手段としては、こうした過酸化脂質を体内に取り入れないようにすることがまず大切です。

しかし、私たちがよく食べている食品には、注意しないとたちまち酸化の侵入を許してしまう事がよくあります。

 

ピーナッツ類の他にも、ポテトチップス、インスタントラーメンなどの油で揚げた加工食品、マヨネーズ、マグロなどの缶詰など不飽和脂肪酸が多量に含まれている食品は、過酸化脂質が出来ているかもしれないと一応疑ってかかるのが賢明です。

特に密封状態が溶けて、空気と長時間接したものは要注意です。

気を付けたいのは、保存方です。

保存が悪いと、過酸化脂質がどんどん作られ増加してくるからです。

直射日光を避け涼しいところに保存して、空気と直接触れないようにすることが大切です。

といっても、お店によっては全く気にしていない所もありますから、安全のために製造日を確認すること、日光に当たっている食品は避ける事、あまり古いものは食べないことです。

また食品中の過酸化脂質は、十分加熱すると分解されるので調理法を工夫することも必要でしょう。

家庭では一度使ったてんぷら油を缶などに入れて保存して、次の機会にも使うのが普通です。

しかし、何度も使ったり、保存日数が長くなると黒ずんで粘りが出てきます。

これは、油の中の不飽和脂肪酸の一部が、酸化して過酸化脂質になった結果です。

過酸化脂質は、毒性の強い物質ですから気を付けましょう。

油が茶褐色になったら、これを使って調理するのは危険性の高いものを口にするようなものです。

こうなる前に廃棄するようにしましょう。

この過酸化脂質で注意しなければならない食品には、前に挙げたもの以外にも、古くなった魚の干し物があります。

魚は必須の不飽和脂肪酸の宝庫なのですが、この不飽和脂肪酸は酸化しやすいことでも有名です。

干した魚は、紫外線にもあたり、空気にも十分触れているわけですから要注意です。

しかし、過酸化脂質は火を通すと安全ですので良く焼いて食べるようにしましょう。

 

肥満に注意しましょう

肥満が良くないことは周知の事実です。

活性酸素から身を守る意味でも、肥満は問題です。

肥満の原因は脂肪が必要以上に溜まり過ぎた状態ですから、活性酸素の攻撃対象が体の中で増加したということを意味します。

ですから、当然、防いでくれるはずの酸化防止機能も追いつかなくなってしまった状態と思えばよく理解が出来ます。

コレステロールは、元々油性のため血液の中には入りにくく、脂肪酸やたんぱく質などで包まれています。

それがLDLコレステロールですから、一方で活性酸素の攻撃を受けやすい形になっています。

そのため、当然、活性酸素の攻撃を受けても大丈夫なように防衛システムを完備しているのですが、その防衛システムが追い付かなくなるくらいLDLコレステロールの量がふえてくると、活性酸素の餌食となって異常に酸化したLDLコレステロールも増加し、問題を起こしてしまいます。

 

肥満とは文明の発達と無縁ではありません。

文明が発達して社会が豊かになり、飢餓から解放されると、本来もしもの時のためのエネルギーとして備蓄するはずだった脂肪は、無用の長物となってしまいます。

そして人間は美味しいものを追い求めます。

おいしいものは、えてして高脂肪の食品が多く、どうしても肥満を招きやすい欠点があります。

一方、文明は人間を重労働から解放しました。

労働をしないで美味しものをたくさん食べれば、肥満になることは当たり前のことなのです。

文明は時として我々に難題を突き付けます。

労働をするか、美味しいものを控えるか。

答えはいたって明快です。

美味しいものを控えることです。

かつて終戦後、食料がなかった時代には「進駐軍の白いパン」が最大のごちそうだったのですから、常日頃は粗食ですごし、たまに御馳走を食べるといった食生活のパターンが新しい健康志向の生活習慣です。

美食に溺れるなど、活性酸素の怖さを知らない知識の低い人と言わざるを得ません。